2020年2月14日金曜日

塩ビ管巣箱を使用した調査結果が哺乳類科学に掲載

哺乳類科学Webページ
https://www.jstage.jst.go.jp/article/mammalianscience/60/1/60_67/_article/-char/ja/

抄録
2014年5月から10月まで,長野県東部のカラマツ人工林に架設された297個の巣箱において,休息するヤマネGlirulus japonicusを捕獲し,空間明示標識再捕モデルにより生息密度を推定した.オス37個体,メス34個体,合計71個体のヤマネを個体識別し,再捕獲個体数はオス5個体,メス10個体であった.生息密度は雌雄全体で1.93±0.35個体/ha(平均値±SD),オス0.65±0.25個体/ha(平均値±SD),メス3.32±1.27個体/ha(平均値±SD)と推定され,メスの方が高かった.一方,推定された行動圏サイズは雌雄全体で3.42 ha,オス3.96 ha,メス0.98 haと推定され,オスの方がメスよりも大きかった.






2017年6月9日金曜日

赤外線カメラ(サーモグラフィ)を利用したヤマネの巣箱調査

ヤマネのお宿」を使用した巣箱調査地で、「ヤマネのお宿」をサーマルカメラ越に点検しますと、巣箱利用動物の有無がはっきりわかり、巣箱点検効率が格段に向上します。



ヤマネのお宿の容積は木製巣箱の容積より格段に小さく、巣箱利用動物が巣材をあまり持ち込まずに利用できます。
ヤマネは巣穴側に巣材を集めても、底には余り巣材を敷かず塩ビキャップ側に休眠しています。
ですから体温を下げて休眠していていてもヤマネのお宿の外からサーマルカメラを当てると塩ビ部材の下側や底面にヤマネの体温による発熱と塩ビ自体の発熱の温度差が出ます。

炎天下の日中は直射日光がヤマネのお宿に当たっていると、塩ビ素材自体が発熱していますので識別は難しくなりますが、塩ビ部材の下側や底面に高温の部分があるかないかで判断できますし、雲天・雨天時には問題なく識別しやすいかと思います。

木製巣箱で同じように識別できるか試してはいないのですが、これまでの経験上、ヤマネもヒメネズミも巣箱内に巣材を大量に入れ、その中心部にいたことが多く、更には塩ビの厚み以上に板の厚みで識別は難しいのではないかと思います。
これまで巣箱を開けて巣材を取り除くしか巣箱利用動物が確認できなかったことを考えますと、巣箱点検効率が少しでも高まることを期待します。

2016年10月21日金曜日

ヤマネを見つけたら…
あなたの発見は大変に貴重です。
是非、環境省の「いきものログ」に報告しませんか? 
http://ikilog.biodic.go.jp/ 
スマホからでも「いきものログ」できます。
iTunes 
https://itunes.apple.com/jp/app/ikimonorogu/id845136538?mt=8
Google play
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.go.biodic.ikilog.ikimonolog&hl=ja
目撃情報の集積でヤマネの生息状況が解明され、ヤマネの保護・保全に繋がる事と思います。
どうぞよろしくお願いします。

現在、いきものログが見れない状況で…
(参考)
サイバー攻撃で閲覧できず=環境省センターHP(時事ドットコムニュース)
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016091500518&g=eco

下記のマップの公開を再開致します。
※記載内容は1995年から2012年の私が把握できた範囲でのヤマネ目撃情報です。

ヤマネ生息分布域マップ

ヤマネ目撃頻度マップ

2014年11月20日木曜日

ヤマネ生息分布域マップおよびヤマネ目撃頻度マップの公開中止につきまして

大変に申し訳ありませんが、自己都合により下記のマップの公開を中止致します。
ご容赦のほどお願い申し上げます。

ヤマネ生息分布域マップ

ヤマネ目撃頻度マップ

これまでご閲覧の方、真にありがとうございました。

2014年2月21日金曜日

雪の上に…

約一年ぶりの投稿で申し訳ありませんでした。

私が住んでいる野辺山高原も先週の大雪に見舞われ、自宅・職場と除雪に追われる日々でした。


一晩の降雪量は約1.2mを超え、玄関ドアや吐き出し窓が雪圧で開かなくなり、風呂場の小窓から外に脱出して玄関周りの雪かきをしました。

自宅前の生活道路は丸一日除雪がされなかったので一時孤立状態でしたが、翌日には除雪していただき車を出せるようになり、仕事・買い出しにも行けるようになりました。

大雪から5日目に職場の森の様子を見に行きました。林道に車を入れることが出来ないので、スノーシューを履いて雪中行軍です。


息を切らしながら歩いていると、雪上を軽やかに走り回っている動物の足跡が目にとまります。




雪上に小さな雪の穴があり、中に黒っぽい物が見えます…


一瞬、「雪上休眠ヤマネ」かと思い息を凝らえ取り出してよく見てみると…


カラマツの外皮でした…(残念!)

樹幹の着雪が落ちた時に外皮も剥がれ落ちたのでしょうか?あちらこちらで外皮が埋まってます。



他にも雪の上に…

カラマツの球果…


野ウサギの糞…
カエデの枯葉…

色々な物が雪面に埋もれています…

気象庁のアメダスで野辺山の気温を見ても真冬日が続いています。

しかし雪の上の落下物は数cmの雪穴にありました。

陽射で落下物が温まり、氷点下の外気の中でも雪面は結構、融けるものだなぁ~と実感しました。

次の降雪で雪面の落下物は埋まってしまうと思いますが、再び落下物が現れる春はまだ先です…

2013年1月24日木曜日


平成25年1月24日

哀悼

「森の珍獣ヤマネ」「日本のヤマネ」のご著者 中嶋福男先生には、かねてより病気療養中のところ、1月6日永眠されました。(享年七十八歳)
突然の中嶋先生の悲報に接し、誠に痛惜の念でいっぱいです。ご家族皆様のご心痛をお察し申し上げますとともに、在りし日を偲び心から哀悼の意を捧げます。
先生の40年にも長きに渡る「ヤマネ調査研究」の多大なる功績の偉大さを改めて痛感し、これまで多くのご指導ご鞭撻を賜りましたことにつきまして、深く深く御礼を申し上げます。
先生のご冥福をお祈りいたします。

2012月10月10日ご自宅にて


2009年10月8日研修会講演のお姿


2009年10月8日八ヶ岳演習林にて巣箱調査のご指導のお姿




2012年7月23日月曜日

塩ビ管巣箱を使用した調査結果が哺乳類科学に掲載

哺乳類科学Webページ
https://www.jstage.jst.go.jp/article/mammalianscience/52/1/52_15/_article/-char/ja/

この調査は2009年に卒業研究として玉木さんが塩ビ管巣箱と木製巣箱の比較調査を行なった結果です。
使用した木製巣箱

木製巣箱の背面に巣穴を明けて木片を付け、樹幹との隙間をつくり巣箱利用動物が出入り出来るようにしてあります。


木製巣箱の利用状況
①野鳥の利用

②ヒメネズミの利用


ヤマネの利用


使用した塩ビ管巣箱(写真はサイズS、他にもMとLがあります)



塩ビ管巣箱の利用状況
①ヒメネズミの利用

②ヤマネの利用


野鳥の利用は当初無かったのですが、2年目に利用がごく僅かですが認められました。


上記の塩ビ管巣箱は「小型ヤマネ科動物用巣箱」として国内特許出願を行ってます。
出願番号 特願2010-182997
出願日  平成22年8月18日
出願人  国立大学法人筑波大学

また特許出願公開され公開特許公報が発行されました。
公開番号 特開2012-039919
公開日  平成24年3月1日
詳細はソーシャルデータベース「astamuse(アスタミューゼ)」で見ることができます。
http://patent.astamuse.com/ja/published/JP/No/2012039919/詳細

※特許出願を行いましたが、塩ビ管巣箱の学術利用は出来ます。